世界貿易機関(WTO)
地域貿易協定(RTA)における医療用品の扱いに関するWTO報告書
令和2年5月7日
4月27日,世界貿易機関(WTO)事務局は,地域貿易協定(RTA)における医療用品の扱いに関する報告書を発表したところ,その概要は以下のとおりです。なお,報告書の全文はWTOのホームページでご確認頂けます。
- WTO加盟国は,地域貿易協定(RTA)において84%以上の医療用品の関税を自由化しており,自由化率は開発途上加盟国(84.3%)や後発開発途上加盟国(68.4%)よりも先進加盟国(99.5%)の方が高い。
- 先進加盟国は,WTOでの合意に基づき医薬品の関税を撤廃するとともに,RTAにおいて医療機器及び個人防護具の関税を引き下げている。先進加盟国の医療用品全体に対する最恵国(MFN)税率の平均が1.8%であるのに対し,RTAによる特恵税率の平均は0.5%まで下がる。また,G20諸国の平均特恵税率は平均MFN税率の半分以下であり,特に個人防護具等の関税が特恵税率により引き下げられている。これは,MFN税率から更に関税を削減する余地があることを意味する。
- RTAには,関税以外にも,貿易を制限する条項(原産地規則等)や貿易を円滑化する条項(透明性の向上,医療用品に関する基準の策定や製品登録証明書の取得手続における協力等)がある。また,RTAの中には,WTOルールで認められているものを除き,輸出入を制限することや税金を課すことを明確に禁止しているものもある。
- 上記の点に加え,相互承認協定の促進などを通じて,医療用品に関する貿易障壁を削減していくことも必要となっている。
関連リンク